詩誌「詩人散歩」(平成20年春号)
◆これまでの【エッセイ】を掲載しています。

  生活環境のパラドックス                 大場 惑


 地球上の生物は、環境に適応して生命活動を行っている。同時に、生命活動を行うことによって、環境を変化させている。私の目にはそのように映る。
 自分自身の生命活動によって変化した環境に、自分が適応できなくなることがある。これは一種のパラドックスである。
 草食動物が豊かな草原に暮らしていたが、やがて草を食べ尽くしてしまった。そこは生命維持ができないところと化してしまう。自分で自分の生活環境を破壊しまったのだ。止むなく新しい生活環境を求めて移動する。草食動物がいなくなった大地は回復し、再び豊かな草原になる。このようなパラドックスにさえ適応して生物は生き長らえていく。しかし、適応不可能なほどに変化させてしまったら、どういうことになるであろうか。
 人間の活動による地球環境の変化が人間存在を危うくしているというパラドックスに対して、果たして人間は適応しきれるかどうか。地球の外から見ている人々には、興味がつきない成り行きであろう。

  お蔭様                          山口ハル子


 新しき年を迎え又一つ年がふえる。
 年末に少し熱があり、正月が来るのにとあわてて病院に行く。年寄りは肺炎になりやすいから食事はきちんと取る事。いろいろ注意してくださる。お蔭様で床につく事もなく三日ほどで元気になった。
 正月は子達夫婦もいつものように二晩ほどとまり私は身のまわりだけする。台所は嫁が何もかもしてくれお蔭様な正月であった。
 日向は暖かい日々で、雪も見たこともなく過ごしている。宮崎に生れこの年まで暖かい太陽の光を受けて暮らして来た。お蔭様な日々であったと思います。
 沈丁花が開きかけてきた。寒い中にりんとして開花を待っている。今年も又元気に過ごしたいものと手を合わせて床についた夜でした。