詩誌「詩人散歩」(平成24年秋号)

yuyake
◆これまでの【エッセイ】を掲載しています。

  生きる                           中野典子


 昨年十一月父が他界し私の二十年間の介護生活は終わった。母は体が弱く、私は母方の祖父母と父母を葬送した。
 一人っ子の私は、大荷物を片付けた。
 大切にとっておいた物に大切なものはみつからなかった。各々思い出として大切だったに違いないと思ったが、片付けるのに大変長い時間を要した。
 こんな大変なことを子供にさせたくないと思った。本当に大切なものは目に見えないものであると感じた。沢山の経験によって成長した魂をもって私はとびたつ。
 その時は、よくがんばって生きたねって言ってね。