詩誌「詩人散歩」(平成14年春号)
◆これまでの【エッセイ】を掲載しています。

  思い出の日々に                       山口ハル子

 遠い日のことを思い出してペンを取りました。思い出の中に日々を過しています。
 父さん都城二十三連隊に連れて行って下さった時は門で敬礼と言われたので足がすくみました。
 青島に行った日のことは物忘れが少しずつひどくなっていましたが、青島が出ている行ったがねと思い出したようでした。
 若い時はオイオイと私を呼んでいたのが子供が生まれてからは時にはお母さんでしたね。
 古希の時には私は入院中でした。三年の間に帰ったり入院したり、一年間は病院の天井を見て過ごしました。父さんの姿が見えると、カーテンを引いてシクシクと泣いていました。古希だねと言ってサンダルにリボンをつけてホイとベッドの上において「これはけよ元気になれ」と、ありがとう。
 私の入院中息子はまだ一人者だったので食事の用意が大変でしたね。スーパーの中をかごを持ってあれこれと買うのが恥かしかったと言っていましたね。
 いろんな思い出をありがとうございました。