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目の前で何ごとかが起き、これに対処するために意思決定して行動する。私たちは、日々、これを繰り返しています。 このとき、ものごとをじっくりと見極め、ゆっくり考えて、判断し、それから意思決定することができればいいのですが、そんな時間がないこともあります。 また、ものごとをじっくりと見極めたくても、情報が足りなくて見極めきれないことも稀ではありません。
時間が足りない、情報が足りない、それでも意思決定しなければならない。こんなとき、私たちは、自分なりに推測して、意思決定することも多いのではないでしょうか。
自分が経験したことを通して、推測のパターンや意思決定のパターンが、自分の中にできていることがあります。こうしたパターンを使うことによって、推測のための思考や意思決定のための検討を省略することができます。
こうした、推測のパターン、意思決定のパターンの中に、先入観とか固定観念と呼ばれるものがあります。
時間が足りない。情報が足りない。それでも意思決定しなければならない。そんな事態に追い込まれ、先入観や固定観念で判断するほかない場合も多いはずです。その意味では、先入観も固定観念も、生きていく上で必要な心の働きであると考えられます。
しかし、一般に、先入観や固定観念は良くないとされています。それは、先入観で人を見たり、固定観念でものごとを行なったりすることが、しばしば悪い結果を生んでいるからです。これは、先入観や固定観念が、そのとき起きているものごとに適合していないからだと思います。
時間が足りない時や、情報が不足している時の間に合わせとして、先入観や固定観念で対処するしかないこともあるでしょう。
時間がある時でも、情報が得られるときでも、先入観や固定観念で判断し、意思決定するのはどうかと思います。
☆「詩人散歩」平成28年春号に掲載
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