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幼い頃、社長は偉い人なんだと素朴に信じていました。社会人となって、いろんな社長と出会ううちに、社長といっても必ずしも偉くないんだと思い始めました。いつしか、社長も普通の人なのだと思うようになりました。
それじゃ、なんで社長が崇められるのだろう。そんな疑問が生じました。そして、崇めておけば給料がもらえるということかなと思いました。社員たちは、社長に頭を下げているのではなく、お金に頭を下げているのかもしれません。
社員たちも出入りの業者たちも、社長の言うとおりにしていればお金がもらえる、そう思って言われたことをしているだけなのに、自分は偉いんだ、誰でも自分の言うとおりにするのだと思い込んでいる社長も少なくないのかもしれません。
社長は、経営者です。経営をするという役割を担っている人です。ですから、経営するスキルがなければなりません。
会社には、経営する人、管理する人、監督する人、現業に当たる人が必要です。誰かが兼ねてもいいのですが欠けてはいけません。これらは機能なのです。事業を推進するには、こうした機能が必要なのです。こうした機能を人が分担しているのです。
社長たる者そのぐらいのことは心得て欲しいと思います。その上で、社員の性質や能力や経験などをよく理解して、この社員には経営を手伝わせよう、この社員には管理をさせよう、この社員を監督者にしよう、この社員たちは現業に当たらせようなどと考えて欲しいと思います。
「うちの社員は、ろくでもない奴らばかりだ」と愚痴る社長は、自分が、社員にろくな仕事もさせられない社長であることを、よくよく自覚する必要があります。
そして何よりも社員の人間性を尊重することが大切です。社員の人格を尊重している。社員の主体性を尊重して仕事に向かわせている。社員の人間的成長を喜んでいる。そのような社長なら、社員から、偉い社長として尊敬されるにちがいありません。(浪)
☆「詩人散歩」平成29年冬号に掲載
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