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新人
私が職場の新人だったころ、先輩から「○○を持って来い」と指示されました。ところが、私は「○○」を知りません。そこで「○○って何ですか」と訊ねましたら、先輩が「行けば分かる」と言います。そこで行きましたが、分かりません。「分かりませんでした」と報告すると、先輩は舌打ちして自分で取りに行きました。
話し言葉・書き言葉
私たちが使っている言葉には、会話をする時に使う「話し言葉」と文章に用いるときに使う「書き言葉」があると教えられてきました。話し言葉は「口語」、書き言葉は「文語」とも言います。 話し言葉と言っても、誰と話すのか、どういう場面で話すのか、話す目的は何なんなのかなどによって、使う言葉も違ってきます。
聞き言葉・読み言葉
私は、ひそかに、「話し言葉」ではなくて「聞き言葉」で話そうと思いました。「書き言葉」ではなくて「読み言葉」で書こうと考えました。
仕事の指示
仕事における指示の目的は、相手に、こちらの望む行動を行なってもらい、望む結果を出してもらうことです。そこで何を目的として、どういう行動を行なってもらいたいのかを伝えるのです。それを話すときには、相手の「聞き言葉」で話し、書くときは、相手の「読み言葉」で書こうと工夫してきました。それは決して簡単なことではありませんでしたが、努力しただけの成果はあったと、自分では思っています。
相手の身になる
聞き言葉、読み言葉と申し上げましたが、その原理は「相手の身になる」に尽きると思います。相手の身になって話せば、話し言葉は聞き言葉になります。相手の身になって書けば、書き言葉は読み言葉になるのです。
☆「詩人散歩」令和02年秋号に掲載
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