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人のことを散々怒鳴りつけたり、こき下ろしたりして置いて、急に「お前にちゃんとして欲しいから言ってるんだ」などと・・・。 これ、嘘ですね。怒っているうちに、怒っている自分の格好悪さに気がついて、取り繕っているだけですね。 そんなこと、多分、もう、見抜かれています。怒っている相手には・・・。
恐ろしい形相をしているけれど、全然怒っていない。それは、不動明王です。
「怒っているときには怒るな、怒ってないときに怒れ」と言います。
怒っているときに怒れば、自分の怒りの感情をぶつけるだけになりますから、相手の状態や表情など構わずに、ただ、怒鳴り散らすだけで終ってしまいます。これでは、相手は、ただ恐ろしいと思うだけです。自分を改めようなどと考えることは期待できません。かえって、あの人がいるときは、目立たないように大人しくしていようなどと思わせてしまいます。怒っても何の役にも立たないどころか、マイナスの効果を生んでしまいます。
怒っていないときに怒るのは、一つの技法です。この人は、このように怒れば、このように受けとめてこのように切り替えると見通しを立てて、計画的に怒るのです。これが、不動明王の怒りです。
怒りの根っこには、相手を自分の思うままにしたいという自分本位の欲望があります。
☆「詩人散歩」令和03年冬号に掲載
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