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46億年前に地球が誕生し、43億年前には海ができ、おそらく40億年ほど前には最初の生命体が活動を始めていたであろうと私は考えています。 地球に起きた多くの事件が、生命体に厳しい試練を与え続けましたが、その都度なんとか乗り切ってきました。そればかりか困難に遭遇するたびに生命体は飛躍的な進化を遂げてきたのです。 5億年ほど前の生命大爆発の後、魚類、両生類、爬虫類を経て、哺乳類が誕生しました。6500万年ほど前に恐竜が絶滅すると、待っていたかのように哺乳類の進化が急速に進みました。 哺乳類は環境に応じてさまざまな種類に枝分かれしました。そのなかに霊長類がありました。霊長類は原猿類と真猿類に分かれ、真猿類はさらに細かく枝分かれしました。そしてそのなかからヒトが生まれてきたのです。その時期は500万年ぐらい前ではないかと考えられています。 ヒトはさらに進化を続けました。最初の人類は猿人でした。75万年ぐらい前から原人が登場しました。20万年ほど前には旧人が現れ、4万年ほど前に新人が登場しました。 現在の地球上にいる人類はすべて新人のホモサピエンスです。日本で生まれ育っていても、欧米で生まれ育っていても、ほかのいかなるところで生まれ育っていても、肌の色に違いがあっても、まったく異なる文化で育っていても、地球上に現存している私たちは、すべて新人のホモサピエンスです。 人類は、今もなお未来に向かって進化を続けているはずです。どのように進化するかは分かりませんが、私たち自身の環境との付き合いかたが、大きな鍵を握っているように思われてなりません。 500万年以上も前に、サルのなかから人類の祖先が枝分かれしたのも、環境との付き合いかたにあったようです。そういう観点から、人類誕生の有力な説が、現在、ふたつあると聞きました。いずれの説も、困難な環境変化に対応して、一部のサルが直立二足歩行を始め、人類へ進化したというアイデアを根底にしています。 ひとつはサバンナ説です。 それまでジャングルに覆われていた地に大規模な断層の活動が起きました。このため、雨が降らなくなったところができて、しだいに乾燥化し、サバンナになってしまいました。ジャングルの樹上で暮らしていたサルたちが、草原のサバンナで生活しなければならなくなったのです。身を隠すものの多いジャングルと違って、見晴らしのいいサバンナは危険がいっぱいでした。サルたちは獲物を早く見つけて追いかけ、敵を早くみつけて逃げるために、より遠くを見たいという願望を持ちました。そして、目の高さを高めるために、二本足で立ち上がったのです。こうして直立二足歩行を手に入れ、人類の祖先となりました。 もう一つは、アクア説です。 あるサルたちが暮らしているジャングルがありました。ところが、このジャングルを乗せていた土地が、地殻変動によって大陸から切り離され、島になってしまったのです。残された狭いジャングルでは食料が足らず、やむなく水のなかに入って食料を調達し始めました。獲物を探して水底を二足歩行したり、体を伸ばして泳いだりするうちに、直立二足歩行が身につき、人類の祖先となりました。再び地殻変動によって島は大陸とつながり、そこから人類の祖先は各地に進出し始めたのです。 ふたつとも、アイデアに富んだ面白い説です。これから議論が重ねられて、次第に真相に近づいていくことと思います。 それにしても、長い生命体の歴史を経て私が今ここにいるのだなあと考えると、ただただ驚くほかありません。 (浪)
出典:炭酸検協会報(平成19年12月号に掲載)
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