【表紙の話】
◇東京池袋の西口公園は、この秋には劇場公園にリニューアルされると聞いている。してみると、本誌が皆さまのお手元に届くころは、大規模な工事も終わりに近づいている筈である。
◇五十年以上も前から、ときおり池袋に足を運んできた私は、このあたりがだんだん変わってきたことを、ぼんやりとながら見ている。
◇昔も今も変わらないのは、どこか雑然としていて捉えどころがないという印象である。東京芸術劇場ができたり、商業施設が軒を連ねたりして人がごった返しているけれど、どこか垢抜けない。それが池袋らしさなのだろうと思っている。
◇私は、この数年来、二カ月に一回の割で、池袋西口公園前の美容室に通っている。通っているのは妻のほうで、私は付録みたいについて歩いているだけだが、ついでに頭髪の手入れもしてもらっている。
◇昨年の暮れ、何とはなしにこの辺りを歩いていたら、西口公園越しに美容室のあるペンシルビルが見えた。持っていたコンパクトカメラで、ペンシルビルを中心に撮影したものを、本誌の表紙にさせていただいた。
◇色づいた銀杏のあるあたりが西口公園であるが、この景色はもう見ることはできない。今年の暮れに同じ場所から、同じ角度で撮影したら、派手派手な建造物が映っているに違いない。見慣れた景色がなくなると思えば、いささかの郷愁を禁じ得ない。(浪)
【本号投稿者】
伊藤 一路(東京都豊島区)
中原 道代(長野県長野市)
大場 惑(東京都杉並区)
【奥 付】
詩誌「詩人散歩」令和元年秋号
令和元年九月一日発行(通算第一二二号)
発行者 菊地良輔
発行所 夕焼けクラブ
ホームページ http://yuyake-club.sakura.jp/
編集者 浪 宏友
詩人散歩編集部
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長野県長野市中御所五丁目十三番二十一号グランドハイツ御所一〇六号
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