詩誌「詩人散歩」(平成27年秋号)

yuyake

◆これまでの【詩編】を掲載しています。

  すすり泣き                      浪 宏友

眼を上げれば

闇の奥に また 闇

声がする
すすり泣きが聞こえる

すすり泣きが
闇にしみとおる

歩く
闇を踏んで 歩く

地面は消えたのだろうか
闇に溶けたのだろうか

すすり泣きが 聞こえる
誰?

すすり泣きが 響く
何処から?

すすり泣きを き分け
すすり泣きを踏んで

闇を 歩く
歩く
歩く

  家路                    中原道代

街に強い光が照りつけている
早朝の始発電車に乗り込んだ
汗を拭く人 扇子を使う人 水を飲む人
発車の時を待っている
通勤者の夏の一日が始まる
ホームを足早に歩く人、人、人
私も人波に乗って一気に階段登りきる
都会の活気に後押しされて
長野新幹線のホームに立っていた
思わず ホッ と息をつく
娘から
「ありがとう 助かりました また来てね」のメッセージ
車窓から雄大な浅間山が見えてきた
青い空が広がっていた

   大きな光                 山本ルイ子

「今日も疲れたなぁ」とふと空を見上げると夜空に輝く光があった
大きいなぁ、綺麗だなぁ、とっても明るいなぁ

さっきまで重かった足取りが急に軽くなったように感じた
しばらく見ていたいと思った

いつも明るく、人に元気を与えられる満月のような人になりたい

まだまだ小さい自分がいて
もっとできる事がたくさんあって
「私は大きくなるぞー」って
心の中で 満月に向かって叫んでいた

  都合                     伊藤一路

人はそれぞれの都合で動いている
何が正しくて何が間違えているのか
それぞれの都合の上に成り立っている
とするならば全ての事が正しくて
全て正解なんだろう
本当の正しさや正解は
自分の都合を全て取り除かなくては
気付けないのだろう
本当の正しさ、正解、正義って難しい
早く見つけたい