生活の悪魔 浪 宏友 |
生活の隙間から 悪魔が覗いている 生活の闇に > 不気味な気配が動いている
大きな目がひとつ
押し合いへし合いする悪魔たちの圧力で
必死に隙間を押さえつけて
生活は隙間だらけだから
悪魔たちは生活の隙間から |
夏の思い出 中原道代 |
夏の暑い日 うちわを激しくあおいで 「夏は逃げ場がないね」と母が言う 洗たくものを干しながら 「夏はいい! すぐ乾くから」も母の口癖 午後になると 雷様がゴロゴロ鳴って 夕立がやってきた ひとしきりの雨がやむと さわやかな風で生き返った 庭の木の葉もキラキラ光り 蝉の声も大きくなった 台所で母は夕げの仕度に忙しい
今 私は涼しい部屋から |
ありがとうパンチ 伊藤一路 |
以前は気にならなかった事なのに 最近は感情に影響するようになってきた 怒りっぽくなり気が短くなり・・・ そんな自分がとても嫌なので色々考えた 文句や愚痴が多い人の共通点は 感謝の気持ちを忘れてる人 今の自分も感謝の気持ちが足りない事に気付く しかしイライラしている時に どうやって謙虚に感謝の気持ちを持てと? そこで考えた作戦が 『ありがとうパンチ』 イライラさせる相手に心の中で ありがとうパンチをお見舞いする 何度も何度も繰り返して ありがとう!ありがとう!ありがとう! 無理やりでいい 薄っぺらでいい 感情無でもいい 残念な事にこのパンチは相手には全く効かない ただ不思議な事に自分の感情には効いてくる スーっと効いてくる 明日からも大丈夫 自分にはありがとうパンチがある |
惜別 中野典子 |
しとしとと雨の日 老猫がじっと窓の外を見ている 思い出すのかい? あの夜を ものすごい大雨の夜 じっと外のどこかで耐えていたんだよね 翌朝は雲ひとつない晴天になった ひとり茂みの中で親ネコを呼んでいた君 そこへ動物好きな子供に拾われた まだ手の平に乗る位小さかった君 あれから十九年 何も言わないが 思い出していたんだろうか? 親ネコ兄弟ネコのことを…… 君に聞いてみたい うちに来て幸せだった? 今までほんとうにありがとう |
すぐ隣で 大場 惑 |
祭典のすぐ隣で 銃弾が飛び交っている 友情を深めあうすぐ隣で 敵意が燃え上がっている
美しい心と醜い心が入り混じり
人間の崇高さを歌い上げる隣に
あきらめるしかないのか
これは他人ごとなのか |
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