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四季の思い(秋に) 佐藤恭子 |
地獄なら針のむしろだこの痛みはきなれてない健康サンダル ひとときのわれ青春のはやりうたなつかしいうたふえていくよう 思い出を捨てに行きたい海の果てまってるだけのこんな場所から これもまた形あるもののさだめかな散らぬ花にもことわざひとつ くしゃみして夏のなごりのクーラーが身体にこたえ一枚はおる 影のびて果物屋にはなし並び風もすずしく秋色の街 古里を<恋しくおもい電話鳴り父の声して一念三千 無精した男の人のひげふしぎ朝ゴマシオで夜コソドロだ |
秋近し 山口ハル子 |
夏の日を短く生きる蝉の声今日も朝からワシワシと鳴く 盆過ぎて吹く風に秋を感じたり虫の鳴く音も秋も近しか よりかゝる夫もなき秋の朝々に味噌汁と梅の一人の食事 彼岸花咲きし墓辺に夫の子の名前呼びつゝ草をぬきゆく 少子化に近所に子供の姿なし花火の音に運動会と思う |