三原山火口



今日の三原山は晴れていた
黒々と山容を現している
冷たい風に吹かれながら
広い火口に降りてゆく

外輪山の内側は広々としている
一筋の道を歩いてゆくと
途中に溶岩の壁が
人の背丈よりもうずたかい

ふたりを呑み込む広大な火口も
大島のほんの一部にすぎない
巨大な自然に身を晒してしまうと
わがままな毎日を送ってきた身には
ひとかけらの価値もなさそうに思える

御神火茶屋でまたコーヒーを飲む
少女もコーヒーを啜っている
無愛想なおじさんは奥でだまって座っている
三原山の白い煙が懐かしく感じられるのは
大島がすこしからだに染みついたのかもしれない

元町を見下ろしながら御神火スカイラインを降りてくる
少女がちょっぴり女らしく見える
飛行機が元町上空から滑走路に向かって機首を下げはじめた

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