民宿



心も体も疲れ切っていた
なにもしらない土地の一夜
小さな風呂場で目を閉じる
このまま自分がいなくなってしまいそうだ

母親が夕食を用意してくれた
海の幸がおいしく料理されている
ちょっとかわった野菜だと思ったら
これが大島のあしたぼだという
豪華ではないかもしれないが
こころのこもった夕食だった

少女と母親のほかには人影がみあたらない
ふたりきりの民宿なのだろうか
大島は観光の島だと聞いていたが
素朴なたたずまいが安心させてくれる

しばらくここに逗留しよう
もう一度やりなおすには恰好だ
いったい自分に何があったのか
これから自分に何が起こるのか
ひとり静かに考えてみよう

次の詩