詩誌「詩人散歩」(平成24年秋号)
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生きる 中野典子
昨年十一月父が他界し私の二十年間の介護生活は終わった。母は体が弱く、私は母方の祖父母と父母を葬送した。
一人っ子の私は、大荷物を片付けた。
大切にとっておいた物に大切なものはみつからなかった。各々思い出として大切だったに違いないと思ったが、片付けるのに大変長い時間を要した。
こんな大変なことを子供にさせたくないと思った。本当に大切なものは目に見えないものであると感じた。沢山の経験によって成長した魂をもって私はとびたつ。
その時は、よくがんばって生きたねって言ってね。