浪 宏友作詞集 「水たまりの天使」 −作曲:稲垣卓三− |
水たまりに映っている空に天使がいた 雨雲が去ったあとにはまだ晴れきらない半透明の空がある トンガリホルンが水たまりからひびくので 通りががりの若い女のフレヤースカートにまつわるので リンキの風が水たまりをこまぎれにしてしまうので たくさんの天使のたくさんのホルンが 水たまりからいっぺんに響くので 水たまりに映っている空から小鳥が一羽浮かび上って たちまちはばたいて半透明の空にまぎれていった (1999年)
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浪 宏友作詞集 「ものかげ」 −作曲:稲垣卓三− |
そこにいるのは だれ ですか 小声でつぶやいているのは だれ ですか 恋が忘れられた日々 通りがかりの暗い小道のものかげから ぼくを呼びとめてしまったあなたは だれ ですか
忘れ果ててしまった日々を
ぼくはいつまでも立ちどまって
そこにいるのは だれ ですか (1999年)
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浪 宏友作詞集 「乳房色の小鳥」 −作曲:稲垣卓三− |
きみの乳房を小鳥がついばんだ 小鳥は乳房と同じ色になって 君の夢から姿をあらわした 眠る君の涙の川から魚が幾匹か空中へ跳ねた それはみんな乳房色の小鳥だった
きみは雪野原に湧く温泉だった (1999年)
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浪 宏友作詞集 「ましまろに沈んでゆくぼく」 −作曲:稲垣卓三− |
ましまろに沈んでゆくぼくでした 食べながら沈んでゆくぼくでした 落ち込んだ穴は見上げても見えない ぼくの重みがましまろには支えきれないので いつまでも沈んでゆくぼくでした
うすぐらい夕方ふもとを歩くと
土間にすわって木を削っていると
真暗なましまろをかきわけかきわけて (1999年)
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浪 宏友作詞集 「雪の東京」 −作曲:中村正行− |
母さん おからだいかがです 電話じゃ見えない故郷の 雪が東京に降りました 走りまわって雪野原 凍えて帰って叱られて 炬燵ですすった甘酒が 一人暮らしによみがえる
母さん 私は元気です
母さん 元気で待っててね (1999年)
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浪 宏友作詞集 「あんたのせいよ」 −作曲:中村正行− |
私はあんたが大好きなのよ それでもあんたがぐずぐずしてるから あいつがどんどん接近してくる 私はあいつに引っ張られる 私はあんたから離れていく どうにかしてよ 早くしてよ なんとかしてよ 早くしてよ 間に合わなかったら あんたのせいよ
私はあんたを待っているのよ
私はあんたがじれったいのよ (1999年)
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