詩誌「詩人散歩」(平成13年春号)
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  四季の思い(冬に)               佐藤恭子
冬の日に朝顔のつる枯れ残る庭か空地か古里の夢

白い冬人の心の醜さも白くかくせと雪が降る

外寒く早く早くとストーブに近づき過ぎてしもやけかゆい

初日の出昨日も今日も初日の出どこがちがうか今日の日の出は

ニコ中の彼に通じぬ禁煙の言葉の弱さくりかえす

菜の花の幼き心春の夢この花だけは摘まずにゆこう

  新 年                     山口ハル子
新しき年を迎えて又一つ重ねし年にわびしさ思う

年賀状さすが今年は夫宛てのもの一枚もなしとわびしき

今年まで今年までかと老いし我秋の一日に大根つける

一枚の母に求めしカーディガン形見となりて我を包みぬ

丸き月今夜の月はきれいだと我を呼ぶ夫の声のするごと